腰痛(腰椎ヘルニア、脊柱管狭窄症、座骨神経痛)について

腰痛でもぎっくり腰のような一時的なものもあれば、年中痛みやしびれに苦しめられる慢性のものもあります。

腰の椎間板という軟骨が飛び出て起こる椎間板ヘルニア、神経が走っている脊柱管が変形により圧迫される脊柱管狭窄症、おしりの梨状筋という筋肉が神経を圧迫する坐骨神経痛などです。

このような腰痛は痛みはもちろんですが、症状として痺れを訴える場合も多いです。

これは骨の変形や筋肉の硬化により神経が圧迫される事が原因とされます。

特に50~100m歩くと痛みや脱力感で、休まないと歩けなくなる間欠性跛行(かんけつせいはこう)は典型的な症状です。

一般的治療としては電気治療、腰の牽引、シップなどで、最終的には手術を勧められるのが多いのではないでしょうか。

しかし手術をしたからと言って良くなる人、全く変わらない、なかには余計悪化するなど・・人によって様々です。。

慢性腰痛の原因に対して・・・

多くの患者さん方は腰痛の原因は「骨の変形によるものだ」と言われたと、よく訴えられます。

しかし前屈みで明らかに骨が変形しているおばあちゃんが、何の不自由なく横断歩道を渡る姿も日頃よく見かけます。

また過去に治療した脊柱管狭窄症の患者さんは症状は消失しましたが、レントゲン所見での骨の変形は全く変わりませんでした。

このような経験から腰痛の原因を骨の変形だけ?とは考えにくいです。

逆にそれが原因で痛みが出ている人の方が圧倒的に少ないのでは?とさえ思えます。

ではなぜ痛みが出るのでしょう??

人体は骨以外に、血管、神経、筋肉、靱帯、リンパ管などの、レントゲンには写らない多くの軟部組織で形成されています。

特に神経や血管が圧迫されると痛みやしびれが出てきます。もちろん骨の変形でも圧迫されますが、実際は筋肉や軟部組織による方がとても多いと推測します。

なぜなら深さ数ミリの浅い鍼をすることで、長年苦しんでいた痛みやしびれから解放される姿を日々経験すると、骨の変形以外が原因と考える方が明らかに自然だと思えるからです。

手術はやろうと思えばすぐにでもできます。しかし何回もというわけにはいきません。

その前に鍼灸治療を試される事をお勧めします。 あくまでも手術は、最終手段と考えた方が無難です。

慢性腰痛の治療

治療としては、まずは五臓六腑への全体治療を施します。

特に50歳を越えて腰痛を訴えてくる方は腎、膀胱の経絡に弱りを持つ人がほとんどです。よって東洋医学的に腎虚(じんきょ:下腹部全般的な気の低下)の全体治療が必修です。

腰痛の場合足の経絡(気の通り道)に反応がよく出るので、まず足のツボに引きバリか灸頭鍼を施します。

また病態として骨格異常の場合必ず、経筋症(筋肉の冷えの反応)を伴うので灸頭鍼で経筋反応を取り除きます。

一過性の腰痛ならこれでかなり症状は軽減するのですが、経過の長い慢性腰痛は1、2回では完治はやはり難しいです。一皮一皮剥ぐように根気よく治療していく事が重要です。

慢性腰痛は年齢や長期の経過により、内蔵からの影響が多分にあるので五蔵六府を調整し、連動して負担のかかっている頚部の治療も重要です。丹念に根気強く治療して行けば、症状は軽減に向かっていきます。